ボディビルコンテスト
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2020年3月
2月にはプラハとボストンに行き、観光を存分に楽しんで日本へ帰国した。
これは後で他人に指摘されて気づいたのだが、今回12月に日本からクシャダスへ。
2月にトルコからプラハ。プラハからボストン。ボストンから日本。
フライトは全て西回りで、くるっと世界一周した体になったのである。
プラハとボストンについての詳細は番外編で。
2月上旬にプラハを訪れた時には空港はいつも通りの混雑で、普段と何ら変わりはなかった。
2月中旬にボストンに滞在しているころから、現地ニュースでは盛んに「中国ウィルス」のトピックスが報じられていた。
日本の豪華客船のニュースも連日報道された。
ボストンおじさんと、
「怖いね。何だろう。日本は大丈夫なんだろうか?」
なんてヒソヒソ話していた。
不安に思いながらもボストンは至って平和だったから我々はすぐに不安なトピックスを忘れていた。
日本への帰国のためにJFK空港に行って、初めて今回のウィルス騒動が深刻なのかもしれないと、少し現実味を帯びて感じられた。
何故ならばアジア方面への乗客がほとんどいなかったからだ。
便は欠航はしていないのだが、乗客のキャンセルが相次いだらしい。
私はエバー航空に乗ったのだが、ほとんど乗客はいなかった。
おかげで、三列席を独占し、横になってゆっくり眠ることができた。
日本への帰国後、私は二週間程度で準備をして猫を連れて三月上旬にはトルコへ戻る予定だった。
しかし、よく調べてみると猫を日本からトルコへ連れていく場合、検疫の為の膨大な工程と少なくとも90日の待機期間が必要であることを知った。
数年前までは10日間ほどの準備で持ち込みが可能だったらしく、私は誰かのトルコブログを読んで軽く考えていたのだが、2020年時点では大変な手間と時間がかかるように変更になったようだった。
とりあえず、一番最初の工程のマイクロチップと一度目の予防接種だけは済ませて、単身トルコに飛び、残りの工程をペットシッターさんにお願いして、90日後に猫を迎えに再度帰国する予定で、再度日本を後にした。
今回はエフェスおじさんのフィットネスの先生達が、イスタンブルで開催されるボディビルコンテストに出場するということで、クラブの希望者が合宿スタイルで参加できることになっていた。
もちろん私は運動音痴で、フィットネスなんてやったこともないのだけれど、日本でのボディビルコンテストの面白さは噂に聞いていたし、ましてや外国のボディビルダーなんて日本など及びもつかないほどクレイジーなのだろうと、大変な興味を抱いていた。
部外者だけれども特別に参加させてもらえることになり、私はわくわくして集合場所へ向かった。
集合場所はクシャダスのお隣のセルチュクという小さな町で、マイクロバスが我々を迎えに来た。
参加者達は、田舎者丸出しで、たった4日間なのに荷物がやたら多かった。
イスタンブルは都会だから必要なものは現地のコンビニで買えるだろうにと、突っ込みどころ満載ではあったが。
その中でひときわ異彩を放っていたのが、エフェスおじさんで、彼だけは全くの手ぶらだった。
旅慣れているのか不潔なのかわからないが、荷物は老眼鏡一つで、靴下の替え一つ持っていなかった。
驚いた私が、現地で買うのかどうか尋ねると、4日間程度なら着の身着のままで過ごすと朗らかに笑った。
後日談ではあるが、彼は三日目位に、微笑みながら、カピカピになった靴下を丸めて投げてよこし、私は地雷を受け取ったかのように大慌てで投げ返したが、おじさんはげらげら笑いながら執拗にそれを繰り返した。
所謂スメハラであろう。
あの激臭とカピカピ感は忘れられない。
そういえば、今は亡き父も、三日ほど履いた靴下を娘達の鼻先に持ってきて、娘達が絶叫して逃げるのを面白がっていた。
国は違えど、おじさんの考えることは一緒なのである。
さて、会場はイスタンブル郊外のグリーンパークホテルで開催された。
ザ グリーン パーク ペンディック ホテル & コンベンション センター イスタンブール
チェックインカウンターから、既に我慢できずに脱ぎだす者まで出る始末で、万国共通で、マッチョは脱ぎたがりが多いと思い知らされた。
ロビーフロアーはイベント会場につながっていて、ちらほらと半裸の男たちが歩き回っていた。
コンテストはとても楽しかった。
シニアの部、バリアフリーの部、ティーンの部、女性の部、などに分かれて筋肉を競い合った。
しかし女性部門に関しては全くボディビルではなかった。
単なるお色気水着コンテストみたいな感じだった。
女性達は筋肉質であるものの、ボディビル体型ではなく、普通にお尻が丸出しのちっちゃいビキニをつけて、長い髪をかき上げたり、後ろを向いておしりをプリプリ振って、お色気を競い合っていた。
アメリカや日本のようなガチムキは、トルコのボディビルダーにはあまりいなかった。
男性に関してもほとんどがフィジーク選手で、古典的なボディビルダータイプの選手は少なかった。
当然日本のような面白い掛け声なんかはなく、至って真面目にカッコ良さを競い合っていた。
私だけの考えかもしれないが、日本のマッチョは若干お笑い要素があり、当人もそれを容認しているように思えるのだが、トルコのマッチョは違った。
ふざけた感は一切なく、真剣に自分がカッコいいと感じているように見えた。
ちなみに私は見たことがないのでボストンおじさんに聞いた話だが、アメリカのボディビルコンテストは、一つのポージングが異様に長く、その間不自然に歯をむき出して微笑み続けているので、相当気味が悪いそうだ。
そして、アメリカのボディビル達にもやはりおふざけ感は無かったそうだ。