猫と一緒にトルコへ移住

ツアーで訪れたトルコに一目惚れ。早速住んでみることにしました。海外移住の記録です

賃貸契約

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2020年2月

 

クシャダスではインターネットで知り合ったHさんに紹介され、毎週水曜日にヨガスクールに通っていた。

ヨガスクールでもトルコ人やドイツ人の友人ができたし、ホテルの前にある海沿いの遊歩道を歩いている時に知り合った友人も数人できた。

何故かロシア人の友人から日本人情報を聞いたりして、私は極力この小さな町に住む日本人と全員友達になろうと考えた。

理由はこうだ。

一人しか頼る人がいなければ、その人だけに負担がかかるから、こちらも気を遣うし、向こうもいちいち相手をするのが億劫になるだろう。

一人暮らしの気ままな私はいつでも自由だが、彼女たちは家庭を持っているのだから、そうそう頼ってばかりもいられない。

かといって、完全に一人で何もかもこなす自信はない。

じゃあ分母を増やせばいいや、と、単純な理論である。

それぞれ得意分野はあるだろう。

仲良くなって、彼女たちの得意分野を見極めて、分散して相談しようと考えていた。

そして私は最終的に8人の日本人を見つけて親しくなることができたのだが、同じクリスチャングループの4人以外は、それぞれが長年この地に住みながら、それほどの接点がなかったという点が興味深かった。

彼女たちはトルコ語も達者だし、トルコ人の配偶者もいるから、別に日本人同士でつるむ必要もなかったからだろう。

だからこの町に住む日本人で最も新参者の私だけが全員を知っているという奇妙な感じになってしまった。

二週間も滞在するうちに、私はすっかりこの土地が気に入り、プラハやボストンに行くまでもなく、ここに住む事をすんなり決心してしまった。

それほどまでに、この土地は私の肌にとても良く合った。

エフェスおじさんは私の送迎担当として、しばしば活躍してくれていたし、家探しはヨガの先生が不動産おじさんを紹介してくれた。

日本人は金持ちだと思われているのか、最初はやけに高い物件を薦めてきたが、予算を1000で希望して探してもらった。

街角の不動産のポスターを見ると、1500~2000位が最も多い価格帯だったので、1000というのは厳しそうだったが、一年分前払いをする条件でディスカウントしてくれる物件を捜してもらった。

そして条件に合う物件が2件見つかったが、現地を見せてくれた不動産おじさんは、浮かない顔だった。

「マンザラがないんだよね」

マンザラとはトルコ語で景観を意味し、トルコ人のマンザラへのあくなき欲求には本当に驚かされた。

歩くと死にそうな急傾斜の山を無理やり切り開いてマンションをおったてる。

われわれ日本人の考えでは、まず、交通の便。

小学校の近く、病院の近く、スーパーの近く、などの利便性を求めることが多いと思う。

しかし、トルコ人の価値観では、まず、マンザラなのである。

というわけでおじさんが浮かない顔をして見せてくれた激安物件は、日本人の私にとっては最高の立地だった。

クシャダスには鉄道がなく、バスだけが公共交通機関である。

そのバスターミナルまで歩いて三分ほどのプール付きのこぎれいなマンションだった。

しかも24時間スーパーと市民市場も徒歩5分以内の立地である。

立地ではこれ以上望めないほどの好条件だと私には思えた。

しかし、不動産おじさんは、もう一つの海の近くの小さなマンションを強く推した。

「マンザラは見えないけどデニスが近いから」

デニスとは海の事であり、マンザラはすなわちエーゲ海が部屋から見えるかどうか、である。

おじさんとしては海が見えなくてもせめて海の近くに住みたいだろうと思ってたらしい。

ここは今住んでいるホテルの近くで繁華街で海沿いの遊歩道にも近い、いわゆる観光通りにある物件だ。

だから私が即決でマンザラもデニスもないアパートを選んだことにひどく驚いてはいたものの、そこはプロなので着々と契約の準備を進めてくれた。

もともとそのアパートは月額1500だったのだが一年分先払いする条件で1000にしてくれた。

冷静に考えると、すごい割引だが、この地は夏の別荘として三か月だけ借りる人などが多くて冬場は稼げないらしいので、一年借り上げるということは大家さんにとってもそれなりにメリットがあるらしかった。

プールと守衛さんが付いていて、ごみの回収も守衛さんが全部やってくれて、共有スペースも管理人さんがいつもピカピカに磨き上げてくれている。

とても清潔なアパートだった。

家具家電調理器具や食器まで揃っていて、体一つで入居できる。

これで日本円にして2万円とは本当にありがたい話である。

16畳ほどの広々としたリビングに意味もなく広い廊下と8畳ほどの寝室バスルームという間取りだ。

また、広いバルコンがあり、そこから出入りするのだが、日本の玄関のようにスペースがあるのでそこで靴を脱げるのも日本人の私には大変気に入った。

トルコの一般的な出入り口は、(その時住んでいたホテルも同じ)玄関がなくドアを開けるとダイレクトに床なので、その隅っこの狭いスペースで靴を脱ぎ、当然床とつながっているので床は埃っぽくなり、いやだな、と思っていたところだった。

私はすっかりご機嫌で賃貸契約を交わした。

トルコ語が読めないので、Yさんに読んでもらって確認してからサインした。

その後、電力会社と水道局で開通の手続きをした。

 

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アパートの間取り