調査開始③生活費のめやす
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2019年11月
クシャダスはとても良い街だった。
人口6万人程度のリゾートの街で、夏には国内外からのツーリストでごった返す。
ビーチはイモ洗いのように混雑し、路駐で車の運転もままならないほどになると聞いた。
しかし、私が訪問した10月はピーク期を過ぎていたのでそれほどの混雑はなかった。
気候はまだ真夏並みであり、昼間はキャミドレスで歩き回っても汗ばむほどだった。
朝晩はそれなりに冷え込んだが、日本の10月とは全く違った。
気候が温暖で雨が降らず、湿気もない。
5年前に転勤で引っ越してきて、日本一雷の多い県に住む私は、鉛色の空には、もう飽き飽きしていた。
この県では、ほとんど毎日雨が降る。
だから、鉛色に空が曇っていても、雨が降らなければ
「今日は晴れている」
と宣う体たらくなのある。
そんなわけで、5年ぶりの雲一つない空は私の心をとても軽くしてくれた。
私は滞在中朝から晩まで町中を練り歩き、スーパーやカフェ、不動産屋の張り紙などを見て、大体の物価を把握しようと試みた。
スターバックスの一番安いコーヒーが7.5トルコリラ(150円)
500のペットボトルの水が1トルコリラ(20円)
オレンジやリンゴは1キロで5トルコリラ(100円)※季節によって前後するらしい
1LDK~2LDK位のマンションは家賃が1000~1500トルコリラ(2万~3万円)程度のものが多かった。
トータルで判断すると、私の感覚では、クシャダスの物価は日本の1/3程度に感じられた。
光熱費についてはよくわからないが、おじさんの家は4人家族で500トルコリラ(1万円)程度だと言っていたので、一人暮らしであれば200トルコリラ(4000円)位であろうと予測できた。
携帯については、日本のようにキャリアと契約して一緒に端末を買うというシステムではなく、本体を買ってからシムを買うという方式のようだった。
シム自体はとても安かった。
居住許可証を持たない外国人は原則的に旅行者用の使い捨てシムを購入しなくてはいけないが、トルコ人に代理で契約してもらえれば、スターターシムが120日80トルコリラ(1600円)で買える。
750分の音声通話と1000SMSと2Gがセットになっている。
120日経過後は28日ごとの更新で、29トルコリラ2G(700円)~60トルコリラ18G(1200円)の範囲で選べた。
自宅のインターネットはまだADSLが主流のようで、75トルコリラ。(1500円)*1
生活必需品については日本に比べるとかなり安いのだが、贅沢品のような、電話機本体、車、ガゾリンは日本より高かった。
仮にiPhoneを例にとれば、当時3世代遅れだった7が5000トルコリラ(10万円)で、面食らった。
私は今回は調査の段階なので、本体は買わずに日本の携帯にシムを挿して使用していた。
しかし、外国製の携帯電話は120日経過すると使用できなくなる。
それ以降も使用したければ、1800トルコリラ(3,6万円)の輸入税を支払う必要がある。
自動車についても携帯のようにやけに高額だった。
1300cc程度の小型車でも新車なら17,5万トルコリラ(350万円)以上かかり、20万キロ乗りつぶしたような、日本では間違いなくスクラップ場に積み重なっているような粗末な車でも5万トルコリラ(100万円)だった。
短期間で可能な限りの情報を集め、トルコでも、やはり首都圏と地方では生活費がずいぶん違うのだろうと推測できた。
日本では私は東京に暮らしたことがないので、わからないのだが、地方都市ならば、女性の一人暮らしなら15万円程度で十分暮らせる。
全体的な物価を鑑みるとトルコでは5-6万円で暮らせそうな感じがした。
そして私は帰国した。